2008 年 4月

10日間のコンサルでIT経営が進むのか?

日立情報システムズが10日間のコンサルで企業の業務に関する改善策の提案をする事業に乗り出したそうです。その価格は250万円とのこと。中堅・中小企業が対象らしいですが、ちょっと価格が高いですね。(日経産業新聞掲載)

問題は価格に見合った成果が得られるか、ということだと思います。

ITコーディネータも、「IT経営成熟度診断ツール」を持っていて、概要の課題提起なら3回ほどの訪問でできます。特に価格は決められていないので、個々の場合により異なるのですが、多くは無償で行っているようです。

ただこれをやったからといってその企業がすぐに改善できるわけではなく、そのためこのツールは実際にはドアノックツール的に使っています。現実の企業の現場で改革、改善を進めるためには、企業自身の力をつけるしかなく、そのためには社内で体制を作り、自力で改革を進める決意が必要です。

我々ITコーディネータは、外部の専門家としてそれを支援する立場にあり、報道のように短期間である程度の「答え」らしきものを提示できたとしても、その企業にとっては教科書を与えられるようなもので、具体的に経営改革を進めて会社のレベルを上げていくためには、少なくとも何年かの期間をかけて地道に取り組んでいくしかないと思います。

企業側がそういう外部から与えられた「答え」を得るために250万円を払う、コンサル会社(ITベンダー)側がそういうパターン化された「答え」を10日間で提供して250万円を受け取る、というのはとても不自然で、こういうことをいくら積み重ねたところで、コンサル会社(ITベンダー)の儲けが増えることはあっても、中小企業側のIT経営は進展しないでしょう。

Web-EDIと共通EDI

顧問先の製造業の得意先(発注企業)がWeb-EDIを導入する、ということで、説明会に行ってきました。

見積、受注、所要、売掛管理の機能があるのですが、

・今まで発注側が印刷して送付していた注文書はなくなる(注文書が必要なら自分で印刷してくれ)

・EDIで受注したら、納品時に出荷情報を入力しないといつまでも出荷残として残ってしまう

・注文(受注)データはCSVでダウンロードできるが、出荷情報はCSVでの投入はできない(手入力が必要)

・発注側はすべて電子データになり、紙はなくなる(発注側のみペーパーレスが実現する)

画面の表示タイトルも「受注」「売掛」ではなく、「注文」「買掛」という表現になっていて、受注側が使うシステムとして作っているとは思えませんでした。大企業側の社内システムにログインさせるから、それにデータを入れてくれ、というコンセプトに見えます。

確かに発注側は、注文時に注文書を印刷したりする手間が減り、入荷時に納品データを入力する手間がなくなるので省力化できるでしょうが、その手間はすべて受注側がかぶることになります。
受注側の中小企業で自社システムを持っている場合は、このWeb-EDIと自社システムとの二重入力になり、手間が増えるだけになります。受注側にとってメリットはなく、デメリットだけのWeb-EDIシステムだと言えます。

大企業が自分たちの「省力化」だけを考えてWeb-EDIなるものを構築し、それを下請けに押し付けてくるようでは、日本の製造業の生産性はいつまでたっても上がりません。大企業の製品も広大な裾野を持つ中小企業群の存在があって初めて成り立っているのですから、製造業のネットワーク全体にとってメリットがある共通EDIの構築を考えるべきでしょう。