昨年あたりから「クラウドコンピューティング」という言葉が盛んに言われるようになりました。
「クラウド」は “cloud” で、「雲」のこと。この「雲」はインターネットのことです。もともとはGoogleのCEOであるエリック・シュミットが提唱した言葉です。
雲=インターネット上にハードウェアやソフトウェア(データやアプリケーションプログラム)が存在し、利用者はそれがどこにあるかを意識することなく、インターネットに接続したパソコンと、そのパソコンで動いているブラウザさえあれば、サービスが利用できる、というコンピュータシステムのことを表現しています。
以前からあるASP、最近騒がれているSaaSなどもこれに入りますし、多数のコンピュータをインターネットで接続し、1台の仮想コンピュータとして仕様する「グリッドコンピューティング」もこの範疇の話になります。開発環境、ミドルウェア、データベース、ファイルシステム、アプリケーション、ハードウェアなど、プラットフォームも含めて(どこにそれが存在するかという物理的な場所はわからないけど)ブラウザ経由で使えるサービスとして提供されるようになってきています。
クラウドコンピューティングが台頭してきた背景には、ブロードバンドの普及、Webアプリケーションの進歩、ハードウェアの高性能化、仮想化技術の進歩などの技術面の進展が大きいでしょう。また個人情報保護法、J-SOX法の施行などによるセキュリティ意識の高まりの中で、セキュリティ強化のためには信頼できる専門家(IT運用事業者)に預けた方がよい、という認識が広まってきたこともあります。
90年代のダウンサイジングやクライアント・サーバシステムに続くこの流れは、今後少なくとも5年、10年は続く流れだと思います。経営の中でIT活用を考える場合、この方向性はしっかり意識しないといけないえdしょう。
ただ現実にはまだ多くが概念の段階にとどまっていて、Sales-forceやAmazon EC2などの一部の大規模なシステムが話題になっている段階ですし、従来からあるASPも成功しているのはごく少数です。経済産業省が力を入れてきている「J-Saas」の取組みも今年度末を目指して共通プラットフォームを開発している段階で、共通プラットフォームができてから実際にどんな形でどんなサービスがその上で提供されるようになるのか、は不透明な段階です。
中小企業にとって注意しなければならないのは、結局は自社の経営革新、業務改善にとって、どこにどういうシステムを入れれば適切なのか、という根本的な問題を自社で考えなくてはいけないことは相変わらず前提の課題としてあり、その際の選択肢が少し増える、ということだと思います。
新しそうな話に目を奪われることなく、また新たな選択肢についても見逃すことなく、冷静に自社の足元を見ることが求められているのだと思います。