クラウドの潮目が変わってきた

先日の日経新聞に「パナソニックが「クラウドコンピューティングを生産管理に導入」という記事が出ていました。

クラウドというと、従来はセールスフォースに代表されるようにCRMや販売管理系が多かったのですが、最近生産管理や基幹システムへの適用が始まってきてます。当然の成り行きといえばそれまでですが、やはり、という感じです。

もともとクラウドというのは、ハードやOSなどのプラットホーム、その上で動くアプリケーションをインターネット上で動かすことによって、システム運用の手間を省き、運用経費を削減し、さらにどこでもシステムにアクセスできることによるメリットを享受する、ということでしたから、インターネットの高速回線が普及し、モバイルも高速になり、かつシステム面でのセキュリティが確保されるようになれば、当然クラウドを使う方向に動いていきます。

自社でサーバ等を管理するより、しっかりした専門業者に任せる方が、安くて安心なのは当然で、大企業でも中小企業でもこれからどんどんそちらにシフトしていくでしょう。特に資金や人材の乏しい中小企業にとって、これまでにない絶好のチャンスと言えます。一昔前までは考えられなかったような安価な投資で、大企業と同様の環境が手に入れられ、自社のツールとして使うことができるようになるからです。

ただ、肝心なのは使う側の意識とレベルで、いいツールや環境が手に入れられるからそれでOKとしたのでは何も変わりません。自社の「ツール」として使うための徹底した検討と社内業務プロセスの改革が必須です。そこができるかどうかで大きな差がつく時代だと思います。

6 件のコメントがあります

  1. プラネット さんからのコメント:

    使う技術の向上が、望まれますね。

  2. ITC福沢 さんからのコメント:

    そうですね、「使う技術」というか「使う側の技術」というか、そういう面こそがカギでしょう。

    クラウドと言ったって、何かスーパーなものが提供されるわけではなく、結局自社の経営力こそがポイントになる、という点では、クラウドにしても、パッケージにしても、オリジナル開発にしても同じなんだろうと思います。

  3. めたたん さんからのコメント:

    初めまして。めたたんと申します。

    mixi経由でお邪魔をさせて頂いております。
    よろしければITコーディネータとしての意見を頂ければと思い質問を。

    近年でのIT関連ではクラウドが一番ホットな話題かと思います。
    事実、クラウド市場規模はかなりの勢いで拡大および拡大が見込まれております。
    ただし、IT市場の規模事態は飽和状態にあり、あるパイの取り合いをする時代に突入、または突入する寸前かと思います。

    クラウドのような効率的なシステム運用が普及すればIT市場の規模は縮小する、またクラウド基盤を構築できず、かつ中小企業を相手にしていた規模が小さめのSier企業が苦しい立場になるのかと思うのですが、その点は如何お考えでしょうか。

    もしよろしければお考えを頂ければと思います。

  4. ITC福沢 さんからのコメント:

    めたたんさん、コメントありがとうございます。

    いくつかの前提があるようですが、「IT市場が飽和状態にある。クラウドでIT市場の規模は縮小する」とは必ずしも言えないだろうと思います。

    中小企業に日々接している立場から見ると、中小企業のIT活用レベルはまだまだ低く、全社的に最適化されて導入している企業はごくわずか(たぶん10%以下)でしょう。
    大企業でも全社最適化されている企業は20~30%程度と言われていますから、そういう意味では「飽和」どころか「スカスカ」状態です。

    こういう議論をする場合は、言葉の定義は大事ですが、ITと言った場合、大変範囲が広く、いわゆる組込みシステムについても、これからますます増えていくでしょう。

    ですから、まず「IT市場が飽和」という前提は違うと思います。

    また地方の中小ベンダーや、中小企業を相手にしている小さめのSierは、クラウドがどうとかではなく、旧態依然とした経営方針、経営戦略の中にいて、新しい時代に即した新たな戦略を持っていない企業がほとんどです。その意味で、いずれにしても日本の中小ITベンダーは存亡の危機にあると思います。

    中小ベンダーがその特徴を生かして、地域や中小企業にとっての不可欠の存在になるにはどうしたらいいか、真剣に考える時期です。

    クラウドの中でもPaasやIaaSの分野は、いずれにしてもすでにグーグルやアマゾン、マイクロソフトなどの世界のトップクラスの大企業に押さえられつつあり、そこで日本の中堅以下のIT企業が勝負するのは、ほとんど不可能になっています。

    アマゾンやグーグルが提供するようなプラットフォームは彼らに任せて、それ以外の分野で自社でしかできない分野を見つける方が、多くのITベンダーにとってはベターな戦略ではないかと思いますし、小規模なITベンダーはさらに小さなマーケットで生きていく道を新たにみつけるべきではないかと思います。

    なかなか伝わらないかもしれませんが、とりあえずコメントしました。

  5. めたたん さんからのコメント:

    ご丁寧なご回答ありがとうございます。
    非常に参考になりました。

    市場のIT投資状況の低さには正直驚きました。
    2000年前後に大手企業のIT投資はほぼ完了しているという認識でおりました。

    ご回答に再度質問で申し訳ないのですが、全社的に最適化というのはどういった
    定義でしょうか。
    IT投資は行われているがシステムの統合、仮想化が進んでいないといった
    定義でしょうか。
    近年、複数システムと統合、仮想化をする案件が多いもので。

    また、パーセンテージのデータソース等が
    もしございましたらご教示頂けると幸いです。
    立場的に上司に根拠を説明しろと良く言われるせいか、ついつい気になりまして。

    クラウドについてはまったくの同意見でした。
    私が勤める会社でもクラウド基盤の構築を進めており生で
    敷居の高さを実感している状況です。

  6. ITC福沢 さんからのコメント:

    情報の元は経済産業省の発表している資料です。

    経済産業省の「IT経営力指標」を用いた企業のIT 利活用に関する現状調査」という文書が発表されていて(平成19年が第1回)、そこでIT活用のステージという考え方が示されています。

    ステージ1:IT不良資産化(IT 導入段階)企業群

     ITを導入したものの十分に活用ができていない状態、またはITを導入したばかりの状態
    ステージ2:部門内最適化企業群

     業務におけるIT の活用は進んでいるものの、IT の活用が部門ごとに完結されている部分最適の状態

    ステージ3:組織全体最適化企業群

     部門間の壁を越えてIT の活用が進んでおり、組織全体で最適に活用されている状態

    ステージ4:企業・産業横断的最適化企業群
     自社の組織全体における最適な活用だけにとどまらず、取引先や顧客などを含めた企業間・産業横断的にIT の活用が進んでいる状態

    このステージ3が全社最適と言われている状態です。

    平成19年の資料では、ステージ3が21.6%とされています。今年の文書を見ると、27%となっており、そのうち大企業では、35.8%、中小企業では、17.7%となっています。

    中小企業で全社最適が20%近いという数字は、現場の感覚からすると信じられませんが、いくら多めに見てもその程度だ、ということでしょう。

    全社で最適化されていない、というのは、社内のいろんな部門にITは導入されているものの、それぞれの部門内で処理が完結していて、データの連携もなかったり、あうりはコードが統一されてなかったり、二重入力が行われていたり、というような状態でしょうか。データも一元化されてないとだめでしょうね。

    経済産業省の評価指標として、この全社最適が「IT経営を実践している」ことの必要条件となっています。僕も基本的には同じ考え方です。

    以下のサイトに資料がありますので、興味があれば見てください。

    http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g70404a05j.pdf

    http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/it_keiei/diagnosis/pdf/it_report2007.pdf

    http://www3.keizaireport.com/report.php/RID/112034/

コメントをどうぞ